看護師は仕事の性質上、様々な症状に苦しむ人への介助作業を行います。
食中毒患者に対しても同様ですが、細菌感染の恐れがあるので注意しなければいけません。食中毒の症状を引き起こす細菌の多くは飛沫感染や接触感染で他者にうつります。患者が至近距離でくしゃみをしたり、吐しゃ物を除去したりするなどの理由で看護師が感染するケースは珍しくありません。本来なら患者にマスクや手袋を使用させて接触を防ぐのが最善の方法ですが強要はできないため、介助作業を行う看護師が自身の身を守るために対処する必要があります。食中毒の細菌は微量でも体内に入り込んだら特有の症状を引き起こすので、一度でも使用したマスクや手袋は速やかに廃棄しなければいけません。
食中毒患者へのケアで重要なポイントとして食べることへの忌避感の解消があります。食中毒の多くは傷んだ食べ物を摂取して起こるため、患者によっては食べる行為に忌避感を覚えることがあります。衰弱している時は注射や点滴で栄養を補給できますが、いつまでもそのような方法に頼ることはできません。少しずつ食べることに慣れさせるのが正しいケアですが、忌避感が無くなるまでの時間は個人差があるので無理強いをしないように心がけます。また、食中毒の症状に見舞われたことを非難するような物言いも厳禁です。親族に対しても食中毒になったことを非難しないように注意し、患者を労わるのが看護師に求められる姿勢と言えるでしょう。